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朝のまどろむ時間が好きだった。


時間が経つもの忘れ、ベッドの中で何度も寝たり起きたりを繰り返し、のんびりと目が覚める。


起きたときの太陽の高さとか、周りの様子も気にすることなく、ただ自分の腹時計だけに従えばいい。


もちろん、夏休み中俺はそうやって過ごすことにしていた。


休みの日だけは、世界中の人間みんなが形に頼らずにいられる。


中には自分というものを全く持っていなくて、定年後に鬱に陥ってしまう困ったちゃんもいるが、いつまでも形がついてくると思っていたら大間違いだ。


いつか必ず、今までの毎日は消えてなくなる。


その前に自分自身の形を自分で作らなければいけない。


そう、俺の形は、つまりこうやってゴロゴロすること。


ベッドに寝転んで目を閉じたまま、う~んと伸びをすると背骨がパキパキと音を立てる。


俺は自分の胴体、手足を最大限まで伸ばしてみた。


体中のあちこちが奇妙な音を立てながら伸びていく。


まだ起きる気はなかったけれど、気持ちがよくてつい目を開けてしまった。


「あ……あ、あ、あ……」


アクビをしようと口を開けたが、そのまま引っ込んでしまった。


しかし口を閉じることもできず「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」と、悲鳴を上げた。