本当に母親を愛しているかどうかもわからない男のために。


そう言いたかったけれど、そこまで踏み入ってしまっていいのかわからなかった。


俺と神崎は夏休みに入ってからの関係だ。


もう充分仲がいいともいえるけれど、心のどこかでストッパーが働いている。


「そろそろ、優奈ちゃんを呼びに行ってくる」


神崎はそう言うと、俺の部屋を出て行ったのだった。