☆☆☆
悔しいけれど、神崎はやっぱり頭がいいらしい。
教え方も丁寧でわかりやすく、俺の宿題はどんどん進んでいく。
真っ白だったノートも今や数式で埋め尽くされていた。
「今日はこのくらいにしとくか?」
神崎にそう言われて時間を確認してみると、3時間ほど経過していることがわかった。
俺はシャープペンシルを机に置き、両手を天に突き上げた。
体を伸ばすとバキバキと不吉な音が鳴る。
「そうだな。随分進んだし、残りはまた今度にしようか」
神崎がいてくれればあと1日あれば終わりそうだった。
優奈は遊びたくてうずうずしているはずだ。
でも、その前に……。
「あれから、どうなった?」
俺は神崎に視線を向けず、宿題の片づけをしながら聞いた。
「あぁ~……うん、まぁ。変わらずだな」
神崎にしては煮え切らない答えだ。
「変わらずか」
「うん。いつも通りだ」
横目で様子を確認してみると、ニカッと笑った顔があった。
それが無理をしているように見えるのは、俺の気のせいだろうか。
あんなファイルを見つけてしまった後だから、なにもかもがいつも通りというわけにはいかないだろう。
「あの時、すごいショック受けてたみたいだったけど」
「そりゃあな、ビックリしたからな。ハジメだって、ビックリしただろ?」
聞かれて俺は頷く。
地下室を埋め尽くしていたファイルが全部子供の情報だとしたら、一体どれだけの人数になるだろうか。
考えただけでも全身に鳥肌が立った。
「父親の会社を継ぐのか?」
「まぁ、そうなるだろうな」
神崎は途端に笑顔を消して答える。
悔しいけれど、神崎はやっぱり頭がいいらしい。
教え方も丁寧でわかりやすく、俺の宿題はどんどん進んでいく。
真っ白だったノートも今や数式で埋め尽くされていた。
「今日はこのくらいにしとくか?」
神崎にそう言われて時間を確認してみると、3時間ほど経過していることがわかった。
俺はシャープペンシルを机に置き、両手を天に突き上げた。
体を伸ばすとバキバキと不吉な音が鳴る。
「そうだな。随分進んだし、残りはまた今度にしようか」
神崎がいてくれればあと1日あれば終わりそうだった。
優奈は遊びたくてうずうずしているはずだ。
でも、その前に……。
「あれから、どうなった?」
俺は神崎に視線を向けず、宿題の片づけをしながら聞いた。
「あぁ~……うん、まぁ。変わらずだな」
神崎にしては煮え切らない答えだ。
「変わらずか」
「うん。いつも通りだ」
横目で様子を確認してみると、ニカッと笑った顔があった。
それが無理をしているように見えるのは、俺の気のせいだろうか。
あんなファイルを見つけてしまった後だから、なにもかもがいつも通りというわけにはいかないだろう。
「あの時、すごいショック受けてたみたいだったけど」
「そりゃあな、ビックリしたからな。ハジメだって、ビックリしただろ?」
聞かれて俺は頷く。
地下室を埋め尽くしていたファイルが全部子供の情報だとしたら、一体どれだけの人数になるだろうか。
考えただけでも全身に鳥肌が立った。
「父親の会社を継ぐのか?」
「まぁ、そうなるだろうな」
神崎は途端に笑顔を消して答える。