「お前……大丈夫なのか?」


「おぉー全然平気! 心配してくれてたのか?」


「そりゃあ……ちょっとは……」


予想外に元気な神崎を見て、つい仏頂面になってしまう。


散々心配していたのがバカみたいだ。


「なになに? 流ちゃんなにかあったの?」


興味津々に目を輝かせる優奈を軽くあしらい、俺の部屋へと向かう。


「俺は今日から完全復帰だ! 心配してくれてありがとうハジメくぅん」


部屋に入った途端体をくねらせて絡み付いてくる神崎。


「あはは! 流ちゃんのオカマネタが始まった!」


優奈は嬉しそうにパンパン手を叩いている。


調子に乗って更に俺に絡み付いてくる神崎。


「うふん、私に会えなくて寂しかったでしょう? ハジメくぅん」


ブチューっと唇を突き出して来る神崎の前に、数学の宿題を突きつけた。


危うく宿題と接吻しようになった神崎は動きを止める。


「これ、忘れてないだろうな?」


俺は神崎を睨み付けて聞いた。


「そうだったそうだった。先に宿題をやっつけないとなぁ」


「えぇ~! せっかく流ちゃんが来てくれたのに!」


「ごめんな~。後で沢山遊ぼうな」


力なくヘラリと笑う神崎を見て、俺は心の奥に微かな違和感を抱いたのだった。