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隠し部屋へと戻って来た俺たちは、大きく深呼吸をした。


普段使われていないだけあって埃っぽく、むせかえってしまう。


「ついに、この時が来た……」


神崎は感慨深げに呟き、鍵穴と鍵を交互に見つめている。


地下室になにが隠されているのか、俺自身も徐々に気になり始めていた。


こんなに厳重に保管しておくということは、莫大な資産かもしれない。


もしそうだとしても俺には全くの無関係なのだけれど、自然と喉が鳴った。


神崎は床に座り込み、鍵穴へと鍵を近づけて行く。


これがテレビ番組ならCMが入りそうな緊張感が漂っていた。


「開けるぞ……」


神崎が今まで聞いたことのないくらい小さな声で言い、鍵穴に鍵を差し込んだ。


それは安易に、なんの抵抗もなくカチッと音を立てて開いた。


同時に俺と神崎は顔を見合わせていた。


「開いた!」


2人同時に言い、思わず抱きしめ合う。


しばらくその場で飛び跳ねて喜んでいたが、相手が男だと思い出してそそくさと身を離した。


「よし、じゃあ行くぞ!」


神崎は自分に気合を入れるようにそう言い、地下室へのドアを開いたのだった……。