リビングに入ると、地球儀は同じ場所に鎮座していた。


紙で作ったと言うだけあって、表面は凸凹していて、継ぎ目も目立つ。


「これ、どうやって中を確認するんだ?」


「簡単だ。台に乗っけてるだけだから、すぐに取れる」


神崎はそう言うと、地球儀の地球の部分をそっと両手でつかみ上げた。


持ち上げると、中から地球儀を支えていた棒だけが残される。


そのまま地球をひっくり返して確認してみると……中に銀色に光るものがあったのだ。


「これだ!!」


神崎の声が一際大きく響く。


何度か地球を振ってみると、カランッと軽い音がして鍵がテーブルの上に落下した。


もしも地球儀の地球に小人が暮らしていたら、突然空から大男が地球を鷲掴みにしてブンブン振り回したことになる。


大変な恐怖だったろう。


神崎は地球を元に戻し、鍵をつまみ上げた。


さっきまでの顔色の悪さはどこへやら、その目はギラギラと好奇心に満ち溢れていた。


「行こう!」


途端に俺の腕をひっつかんで駆け出す。


少しでいいから、さっきみたいに大人しくしておいてくれないか。