「世の中、親がいない子供をかわいそうだと思うことさえ『普通』になっている。だけどそれは間違っている。そうは思わないかい、ハジメ君」


「まぁ、親がいなくても幸せに暮らしてる子はいると思うけど」


「そう、それがミー。ミーって俺のことね? 俺の本当の父親は病死した。だけど俺は不幸だなんて思ったことは、ない。だけど命に限りがあるってことはよぉく理解した。だから、世の中の『普通』なんかに囚われて生きるのは嫌なわけだよ、ハジメ君」


「最後の『ハジメ君』っての、そろそろやめてくれない?」


言っていることの意味はわかるけれど、だんだん腹が立って来た。


「そうか、結構気に入ってたんだけど」


「勝手に気に入るなバカ」


「ま、とにかくそういうこと。俺が学校行かないのも、そういうこと」


「は? 待てよ、学校といままでの会話と関係ないだろ?」


「あるある、大有り」


「俺の考えを否定しただけじゃないか」


「否定したわけじゃないさ、肯定もしないけど」