なにかあるな。


直感的にそう感じた俺は神崎に許可も得ず、強引に引き出しを開けていた。

「なんだこれ……?」


引き出しにあったのは一冊のファイルだった。


ブルーのファイルの拍子には『神崎流星』と書かれている。


「さぁ、なんだろうな」


神崎はそっけない返事をして引き出しを閉じようとする。


が、俺はそれを阻止した。


「なんでお前の名前が書かれたファイルがあるんだ?」


「さぁなぁ……? 再婚相手の子供ことが気になったからじゃないか?」


そう言う神崎の顔色が、どことなく青い。


なにかに気が付いたような、そんな顔だ。


「ちょっと、確認してみよう」


「やめろよ。確認したって、俺の情報が載ってるだけだ。つまらないぞ?」


「それならそれでいいだろ?」


俺は嫌がる神崎を無視して、ファイルを手に取った。


開いてみると、そこには神崎が生まれた時の日付や現住所、学校の成績などが事細かに記載されていた。


「すごいなこれ。生まれた時の体重まで書かれてる」


そう呟き、首をひねった。


再婚相手の子供だからって、ここまで調べるか?


更に確認していくと、神崎の苦手な食べ物や苦手科目なんかも次々と出て来る。


学校の成績においては小学校1年生の頃まで遡って書かれていて、なにが重要なのか、赤線まで引かれている。


ストーカーでも、ここまでの情報を集めるのは困難だろう。


見ている内にゾワリと鳥肌が立つのを感じて、俺は慌ててファイルを閉じた。


「な、なんか変なもん発見したな。鍵はあったのか?」


ファイルを引き出しに戻しつつ、質問する。