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書斎へ戻って来た俺たちは二手に分かれて鍵を探す事になった。


神崎はソファの置かれている書斎。


俺はその奥の隠し部屋だった。


あるとしたら隠し部屋の方が可能性が高いと思ったのだけれど、部屋の中にあるのは大小のモニターばかりで、棚やデスクは見当たらない。


隠し場所がないのだ。


「こっちの部屋じゃないのか……」


ザッと確認しただけでもなにもない事がわかり、頭をかきながら部屋を移動する。


といっても、こっちの書斎は壁が本に覆われていて探すのは手こずりそうだ。


もしも本の間に鍵を隠していたとしたら、今日中に探し出すのは困難だろう。


神崎はデスクを確認しているから、なにもしないわけにはいかない。


俺は渋々本を手に取り、確認し始めた。


難しい経済書に、自己啓発書。


ミステリー小説に青春小説。


分厚い辞書も何種類も置かれている。


その一つ一つを手に取っていた時だった。


「あ」


神崎が小さな声でそう言ったのが聞こえてきて、俺は手を止めた。


「なにかったのか?」


本を確認する作業に飽きていた俺は、すぐに神崎の隣に立った。


デスクの1番上の引き出しが開かれた状態だ。


「いや、なんでもない」


神崎はそう言い、まるでなにかを隠すようにすぐに引き出しを閉めてしまった。