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食堂の入り口を通り過ぎて廊下の突き当りで立ちどまる。


目の前にある姿見が俺と神崎の姿を映し出した。


神崎は鏡に両手をつき、グイッと奥へ押した。


鏡の下についているキャスターがコロコロと音もなく動き、その向こうに廊下が現れた。


2度目だからだろうか、肌を撫でて行く冷気を感じても嫌な気にはならなかった。


神崎が先にたち、廊下を進んでいく。


部屋に立取りつく前に監視カメラがあり、俺たちは一度そこで立ちどまった。


背の高い神崎なら、背伸びをすれば届く位置にある。


「スイッチは……これだな」


監視カメラの上部についているスイッチを押すと、カメラの赤い光がフッと消えた。


ここから先は前回やったとおりに行動すればいいだけだった。


ドアの前まで移動して来た神崎は、前回同様に長い棒を取り出してドアのすき間に差し込んだ。


棒の先端は曲げられていて、内側の鍵に引っかかるようになっている。


神崎は前回同様に器用に棒を動かして、鍵はすぐに開いた。


「なんか手馴れて来てるな」


俺は神崎の後ろから隠し部屋に入ってそう言った。


「2度目だからな。前回の復習をすればいいだけだ」


神崎は何でもない事のように返事をして、部屋の中央まで進むと立ち止まった。


部屋の半分を埋め尽くしているダンボ-ルのせいで外よりも随分温度が高い気がする。


「ほら、ここ。ここで飛んでみろよ」