20畳の隠し部屋には、大きなモニターが数台置かれていた。


「こんなに沢山のモニターがあるのか」


それは映画の中でしか見たことのない景色で、俺は感心してしまった。


「ほとんどが家の裏に設置されてる監視カメラだと思うけどな」


神崎はそう言いながらモニターの電源をつけて確認している。


「家の表にはないのか？」


「表はインターフォンのカメラがあるからな」


インターフォンの画像なら削除するのは簡単だ。


俺が今日ここへ来た時の画像も、すでに削除したらしい。


モニターに映し出された映像は、確かに屋敷の裏側を映した物がほとんどだった。


「昔、１度だけ泥棒に入られたことがあったみたいなんだ」


「そうなのか？」


これだけ大きな屋敷なら、そういうことがあってもおかしくはない。


見るからに金持ちだ。


「そのとき、犯人は裏から塀をよじ登って入って来てたんだ」


「へぇ。だから屋敷の裏ばかりにカメラが設置されてるんだな」


「そういうことだろうな」


神崎は返事をしながら念入りにモニターをチェックする。


そして、モニターの中でも一際小さな画面を見つけて「あ！」と、声を上げた。


「これだ！」


確認してみると、確かにあの廊下が映し出されているのがわかった。


モニターの横には録画用のマイクロＳＤが挿入されている。


監視カメラの電源を落とした後隠し部屋に侵入し、すべてを終えたら俺と神崎が撮影した映像と入れ替えておけばいいのだ。


「よし、これで計画は実行を移せる。いくぞハジメ」


神崎はそう言い、勢いよく立ち上がったのだった。