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それから30分が経過していた。


相変わらず広い部屋からモニターらしきものは見つかっていない。


「この部屋じゃないのかなぁ……」


そろそろ疲れて来て、ドカッとソファに身を沈めて呟いた。


クッションがとても柔らかくて、体がズブズブとはまって行く感じがする。


昨夜眠れていないこともあり、自然と瞼が落ちて来る。


ソファはフカフカだし、今は家に誰もいないし、気兼ねなく昼寝することができそうだ。


ほんの1時間眠るくらい、神崎だって許してくれるだろう。


勝手な解釈の末、俺はソファにゴロンと横になっていた。


心地よい睡魔に身をゆだねようとした……その時だった。


伸ばした足に硬いものが当たった感触があった。


気にせずに睡魔について行こうとした時、カチッと音が鳴るのが聞こえた。


神崎がなにか見つけていじっているのだろう。


そう思った瞬間、地響きが聞こえてきていた。


ハッと息を飲んで跳ね起き、部屋の中を見回す。


ゴゴゴッと地面を揺らす音はまだ続いていて、「地震だ!」と叫んだ俺はテーブルの下に身を隠した。


「神崎! 神崎どこにいる!?」


全国で大きな地震が起こっているから、ちょっとした揺れでも油断ならなかった。


特にこの部屋は本が沢山積まれているのだ。


あれが頭の上に落下してきたら、命が危ない。


「ハジメ。俺はここだ」


少し遠くから声が聞こえる。


無事なようでひとまず安堵する。


さっきまでの地響きも途絶えて、今は静寂が垂れこめていた。


「よかった、止まったみたいだな」


「あぁ……これは……すごいな」


神崎の声は相変わらず遠い。


「ハジメ、ほら、見てみろよ」


その声はどんどん遠ざかって行く。


おかしいな。


いくら広い部屋でも一部屋なんだから、そんなに遠ざかるはずがないのに……。