☆☆☆

今度は30分も棒立ちになることなく、玄関のチャイムを鳴らしていた。


しばらくして神崎が出てくる。


「よぉハジメ! よく来たな!」


欧米の挨拶のように抱きしめて来ようとするので、俺はその手をスルリとかわ
して屋敷の中にお邪魔した。


相変わらず大きな家だ。


そして趣味が悪い。


「もう、つれないのねぇ」


俺の後ろで玄関を閉めて、体をくねらせる神崎。


「母親はもう出てるんだろ?」


「もちろんよ! これからは私たちだけのじ・か・ん!」


神崎は調子に乗って今にもダンスを始めてしまいそうだ。


「はいはい。俺たちだけの時間は後にとって置いて、今はモニター捜しをいそう」


「そうねそうね。お楽しみの時間は後からがいいわよね」


うふふっと気持ち悪く笑うので、その頭をひっぱたいてやった。