早朝、5時半頃に目を覚ましていた。


まるで遠足前日の小学生みたいに寝付く事ができなくて、自分でも笑ってしまった。


仕方なく上半身をベッドの上に起こし、大きく伸びをする。


背中がバキバキと音を鳴らして伸びて行くのを感じる。


神崎の家に行くのはこれで3度目になる。


1度目は行くのが本当に嫌で嫌で仕方なくて、炎天下の中30分も玄関先で棒立ちになってしまったっけ。


2度目も俺の意思とは関係なく、ほぼ強引に連行された形になった。


でも、今回は違う。


俺はついに自分の意思で神崎の家へ向かうのだ。


それは俺にとってとんでもない変化だった。


あいつの家に行くのが苦じゃない。


それどころか、ちょっと楽しみにしているところがある。


夏休みはいつも1人で大人しく過ごすことを日課としていた俺にとっては、それは天変地異と言っても過言ではなかった。


俺は早々に着替えを終わらせて、キッチンへ向かった。


キッチン横の寝室からは両親のイビキが聞こえて来る。


これだけしっかり眠っていれば、しばらく起きることもないだろう。


俺はそのまま食パンを4枚取り出してテーブルに置いた。


4人分皿と、バターとイチゴジャムを準備し、ちょっと気分が良かったので鼻歌まじりに目玉焼きまで準備してしまった。


慣れない作業だから随分時間がかかってしまったし、目玉焼きの裏側は黒くコゲている。


それでも、俺は満足だった。


たまにはこういう朝も悪くない。