俺は神崎の言葉にキョトンとして聞き返した。


秘密の地下室は神崎の家にあるのに、出かけてどうするんだという疑問が浮かんでくる。


「家政婦には、そう説明しておくんだ。でも実際には家にいる」


「そうか。全員家にいないとなると、家政婦は必要ないもんな」


「その通り!」


神崎はニッと白い歯を覗かせて、右手の親指を立てて見せた。


これなら、前回決行したときよりも随分と楽に部屋まで到着することができるだろう。


あの、陶器まみれの物置に入ってブレーカーを落とす必要だってないわけだ。


そう考えると、いくらかホッとしている自分がいた。


当初は神崎と関わることすら嫌だったのに。


「問題は、モニターがどこにあるかってことくらいだな」


あの部屋の鍵は簡単に開くことがわかっているから、それだけ解決できれば案外簡単に地下室に入ることができるかもしれない。


その程度なら、付き合ってやっても構わない。


俺はそんな甘ぁい考えで神崎の計画に乗っかってしまったのだった。