☆☆☆
強制的に取り付けられた約束場所のファミレスは、相変わらず女性客でごった返していた。
俺と神崎の2人が席に座ると、痛いほどに視線を感じる。
「アイスコーヒーを」
「俺も……同じやつで」
何度来ても慣れることのない空間に、同じ注文しか繰り返せない俺。
「で、準備ができたって?」
運ばれて来たコーヒーには口を付けず、お冷を飲んで俺は訊ねた。
「そうなんだ。決行は明後日の昼間だ」
「昼間か。お手伝いさんがいるんじゃないのか?」
俺は電話越しの柔らかな声色を思い出していた。
「もちろん、それもちゃんと考えてある」
「どうするんだ?」
「まずはこれを見てくれ」
神崎はテーブルの上に2枚のチケットを置いて行った。
それは宮島へのバス旅行のチケットだった。
「まずは今日中にこのチケットを俺の母親に渡す。一泊旅行だから、主婦仲間と一緒に羽を伸ばしてくればいい」
「へぇ、これを使って家を空けてもらうのか」
俺は神崎のやろうとしていることが理解できて言った。
神崎はうんうんと頷いている。
「そう。父親はその日の前日から出張で出かけてるから、これで両親は家からいなくなるわけだ」
なるほど。
「じゃあ、残りはお手伝いさんの問題だけだな」
「俺も出かける予定にしてある」
「は?」
強制的に取り付けられた約束場所のファミレスは、相変わらず女性客でごった返していた。
俺と神崎の2人が席に座ると、痛いほどに視線を感じる。
「アイスコーヒーを」
「俺も……同じやつで」
何度来ても慣れることのない空間に、同じ注文しか繰り返せない俺。
「で、準備ができたって?」
運ばれて来たコーヒーには口を付けず、お冷を飲んで俺は訊ねた。
「そうなんだ。決行は明後日の昼間だ」
「昼間か。お手伝いさんがいるんじゃないのか?」
俺は電話越しの柔らかな声色を思い出していた。
「もちろん、それもちゃんと考えてある」
「どうするんだ?」
「まずはこれを見てくれ」
神崎はテーブルの上に2枚のチケットを置いて行った。
それは宮島へのバス旅行のチケットだった。
「まずは今日中にこのチケットを俺の母親に渡す。一泊旅行だから、主婦仲間と一緒に羽を伸ばしてくればいい」
「へぇ、これを使って家を空けてもらうのか」
俺は神崎のやろうとしていることが理解できて言った。
神崎はうんうんと頷いている。
「そう。父親はその日の前日から出張で出かけてるから、これで両親は家からいなくなるわけだ」
なるほど。
「じゃあ、残りはお手伝いさんの問題だけだな」
「俺も出かける予定にしてある」
「は?」