うんうんと頷いて答える。


監視カメラの映像を見ているのは父親なのだから、当然だ。


「書斎には鍵がかかっていないから、1度入ってみたことがある」


「その時モニターは?」


質問すると、神崎は大きく息を吐きだしながら左右に首を振った。


「なかったのか?」


「そうなんだ……」


落胆したように呟く神崎に、俺も息を吐きだした。


第一候補の父親の書斎は排除されることになる。


「他に候補のある部屋は?」


「う~ん……」


俺の質問に神崎は唸り声をあげて考え込んでしまった。


「目立たない部屋とか、お前が入らないような部屋はないのか?」


「前に言っただろ? 家の中は一通り散策した」


「そういえばそうだったな。じゃあ、書斎以外に、目ぼしい部屋はないってことか」


「そうなんだよなぁ」


珍しく頭を抱えて呻いている。


「でもさ、鏡の奥が隠し扉になってるくらいなんだから、他にも部屋があってもおかしくないよな」


「あぁ、そっか。確かにそうだな……」


神崎はブツブツと呟きながらも、期待に目を輝かせはじめた。


まずい。


こいつを喜ばせるようなことを言ってしまったようだ。


「それならもう1度父親の書斎に入って確認してみよう。なにかわかるかもしれない」