母親は優しいから、自分の為を思ってその男との再婚を決意した。


「許せない!」


カッとなって叫んでいた。


「はい?」


神崎が情けない顔をして俺を見ている。


「はい? じゃないだろ! お前はそんな男に母親を持ってかれていいのかよ、今までの恩はどうした!?」


「恩っつても……」


「お前な、母子二人で頑張ってきたんだろ? 二人でいれば幸せだろう? なのにこんな豪邸なんかに目がくらんじまって! 母親がかわいそうだとは思わないのかよ!」


「おい、ハジメ」


「うるさい! お前が学校に来たくない気持ちはなんとなくわかった。無理に来いとは言わない。だけど問題はそこじゃないんだよ、お前は今母親を守らなきゃいけない。この豪邸の持ち主なんかやっつけちまえよ!」


「落ち着けよ、何言ってんだよさっきから」


「神崎、金で愛情は買えないんだよ!」