雨の上がったアルファストはムシ暑い。


室内にいれば雨の後は多少でも涼しいと感じられるのだけれど、外にいれば雨など関係なくただ暑い。


そんな道を男二人でトボトボと歩いて帰るわけだから、これがまた切ない映像だ。


「なぁ、神崎」


無言のまま先を歩く神崎へ声をかけた。


「なんだ?」


振り返り、歩調を緩める。


「ビデオ画像はこれで何とかなったけど、監視カメラのモニターはどこにあるんだ?」


「それを、今考えてる所なんだ」


神崎にしては珍しく、眉間にシワを寄せてうなり声を上げる。


「監視カメラの画像がどこに送られているのか……」


呟き、眉間のシワに人差し指を当てて探偵ポーズをキメル。


わざとらしくやっているわりには様になっていて、これだから顔のいい奴は嫌だと心から思う。


「どこか思い当たる場所くらいあるだろ?」


「……あると言えばある。ないと言えばない」


また、ハッキリしない返答だ。


今回の神崎には多少勢いが足りないような気がする。


そんな事を思っていると、いつものファミリーレストランの前で急に立ち止まった。


「ちょっと寄って行くか?」


そう言って、店を指差す。


ピンク色の可愛い外観のレストランに入れるのは、いつも優奈が一緒だからだ。


男二人でいかにも女性向け、な店に入るなんて気が引ける。


そう思い、あからさまに表情を歪めてみた。


しかし、人に『寄っていくか?』と聞いておきながら俺の事なんて見てもいない。


神崎はさっさと自動ドアを入り、メルヘンチックな世界へと姿を消した。


まったく、もう……。