「ホラーで気持ち悪くなったなら、推理小説で問題解決して、スッキリしたらどう?」


「お、優奈ちゃんうまい事言う」


神崎に手を叩いて持てはやされ、優奈は自信満々に鼻を鳴らす。


もう、どうでもいい。


すでに会話に興味をなくした俺は、単行本を手にとって202ページを開いてみる。


物語はすでに終盤で、グロテスクなシーンもそこには書かれていなかった。


ただ、一箇所だけ。


文字を強調するように書かれている部分があり、そこに目がいった。

《ビデオ映像》

俺は、その言葉の意味を探るため、文章の前後を読む。


けれど、やはり理解できない。


「すごいトリックだろ? 監視カメラの映像が、生のものじゃなくて録画したものだったなんてな」


横から、神崎の声が補足を付け足した。


しかも、とても嬉しそうに、好奇心をむき出しにした声だ。


俺は平静さを装いながら本を閉じ、「まぁ、所詮は物語の世界だしな」と言う。