「全くもう」


ため息をつきつつ、ベッドから起きると読みかけの単行本が目に入った。


結局、暗い中で見始めた活字は睡眠欲を倍増させる道具にしかならず、たった数ページ読んだだけで意識を飛ばしてしまったのだ。


床に落ちた本を拾い、テーブルに置く。


ベッド脇のスタンドも、当然付けっぱなしだ。


「限りある資源を大切に」


よく見るCMのセリフを呟きながら、オレンジ色の電気を消し、再び本に視線を移す。