「どうしたのかな? 病気かな?」


「さぁな」


「だとしたら、お見舞いに行かなきゃ」


そう言い、優奈は慌てたようにベッドからおりる。


優奈の乗っていた腹の辺りが軽くなり、俺はようやく上半身を起こした。


「来ないのがそんなに心配か?」


「当たり前じゃない。いつもこの時間には来てプリン食べてたのに」


優奈の言葉に、俺は呆れる。


神崎がここへ来てプリンを食べていたことなど知らない。


俺を起こす前に勝手に上がり込み、朝食前に優奈と一緒に食べていたようだ。


「図々しい奴だな」


「それが流ちゃんのいい所でしょ?」


「いい所? どう考えても短所だろ」


「そんな事言うところが、お兄ちゃんの短所だわ」


神崎の肩を持ち簡単に言い返されるのだから、俺の立場はない。


俺が両手を天井へ向けて伸ばし、骨を鳴らしている間に、優奈はさっさと部屋を出てどこかへ行ってしまった。


まさか、あいつの家に行く事はないだろう。


場所は知らないはずだし、知っていてもあの豪邸を目の前にしたら誰でもしり込みしてしまう。