こうなれば、とことんやってやる。


胸の中で、電気スタンドより真っ赤な炎が燃え盛っている。


俺は、単行本を薄明かりの中読み進めながら思った。


神崎流星に、この夏をかけてみよう-----。


重い。


苦しい。


暑い。


息苦しい……。


ハッと目を開けると、目の前に見慣れた顔があった。


天使の輪のショートヘア。


今日は、白地に薄ピンク色の大きなリボンがついたキャミソールに、ミニスカート姿。


「優奈……」


布団の上から馬乗りになっている妹に、ホッと安堵のため息を漏らす。


あの巨大な男だったら張り倒していたところだ。


「ねぇ、今日流ちゃんこないよ」


目が覚めた兄に対しての第一声が、それか。


そう思うといささか悲しくなるが、そんな表情微塵もみせずに「そうか」と返す。