冬に枝を切られるこの柳の木が、俺たちの為に影を作ってくれているこの間は……。

神崎から手渡されたのは、一冊の薄い単行本だった。


そのタイトルには、充分に見覚えがある。


「前に、お前が見てた映画の小説か?」


俺の質問に、神崎が一つ頷く。


一度目の、計画開始の前夜。


神崎の家に泊まったときに見た、グロテスクなホラー映画だ。


食後だったというのに、こいつは録画をしてまで画面に食い入っていた。


俺はその本を弄びながら、「これがどうした?」と首を傾げる。


「それはな、2巻なんだ」


「2巻?」


言われて、表紙のタイトルをもう一度確認する。


たしかに、「SHOW2」と書かれている。


1巻じゃなく、2巻……?


「何でだ?」


「読んでみるとわかるさ」


意味ありげな言葉に、俺は腑に落ちない。


と言った表情で更に首を傾げた……。