俺は秘密の部屋のことなんて一切知らないからな!


心に固く誓い、まるで晴天のカタツムリのように殻に閉じこもる。


ともすれば干からびて死んでしまうが、それでもヒョッコリ顔を除かせて、目の前の天敵に食べられてしまうよりはマシだった。


そういえば、カタツムリの天敵といえばなんだろう?


カタツムリの中身はナメクジだというけれど、それが本当なら塩が天敵?


けれど、食用のカタツムリがあるくらいだから、中身がナメクジであるっていうのは何だかうそ臭い。


仮にナメクジだったとしたら、食用のナメクジってことになってしまう。


想像しただけでも食欲を失う。


そんな事を考えていると、周りがやけに静かな事に気付いた。


もちろん、耳を塞いでいるからではあるけれど……、俺はソッと目を開けた。


目の前に三つの目を持つ男……。


「うわぁぁっ!」


驚き、耳に突っ込んでいた両手でそいつを突き飛ばした。


ガシャンッ!


……ガシャン?


それと同時に、神崎の笑い声が部屋中に響き渡った。


三つの目の持つ男。


それは鏡に映った俺だった。


いつの間にか、俺の額には細いマジックでリアルな目を描かれていて、顔の前に鏡までセットされていたのだ。


話を聞いてくれないからって、こんな手段できたか……。


「油性マジックで描いてんじゃねぇよ!」


「……ハジメ、突っ込む部分が違うぞ?」