おかしい、変だ、こいつ、やっぱりとてつもなく変人だ。


頭いいし、背高いし、スポーツできるし、カッコイイし、モテまくってるし、なぜか登校拒否児だし、なによりバカだ。


俺が必死で関わるまいとしてきたのに、こいつは簡単にその壁を突破してきた。


いや、壁の存在にすら気付いていないのかもしれない。


「もう大丈夫そうだな」


俺の豪快な笑い声を聞いて、神崎がホッとした表情を見せた。


バカを言いながらも、ちゃんと心配してくれていたのだと、わかった。


「あぁ、悪かったな。もう平気だから」


寝かされていたベッドから起き上がると、一瞬メマイがする。


が、軽く頭を振って治る程度だ。


ここに来て、ようやく部屋の様子をマジマジと伺うことができた。


12畳ほどの広さがあるフローリングに、小さなテーブルと机、冷蔵庫にベッドが置かれていて、すべて白と黒で統一されている。


無駄なものが一つもなく、ホコリも積もっていない。


「ここ、お前の部屋?」


「あぁ、そうだけど」


「すっげぇ、潔癖だな」


「そんな事ないよ。生活感のあるものは全部収納してるだけ」


そう言われれば、本や衣類などもこの部屋には見当たらない。