だけど、それを思い出すと必ず嫌な記憶も一緒に蘇る。


うなされるもの当然だ。


「お前を川に流す夢を見た」


俺は記憶を辿るように視線を空中へ投げかけて呟いた。


もちろん、嘘だけど。


「はい?」


神崎は俺を見て瞬きを繰り返す。


「だけどお前はなかなか流れないんだ。デカイ体が川の色んな場所にひっかかってひっかかって、俺は木の棒でお前を流れに乗せようとするんだけど、それでも流れなくて」


「ちょっと待てよ、それじゃあ俺はまるで水洗トイレで流されまいと頑張ってるクソみたいじゃないか」


言いながら、神崎は俺の頭を叩いた。


痛くはないがいい音が響いた。


それを合図に、思わず笑い出す。