太陽が16歳の俺を攻撃している。


すでに小麦色に焼けていた肌が、チリチリと音を立てて煙をあげそうな夏の昼。


本当ならエアコンのきいた部屋で妹と二人、お笑い番組の再放送を飽きもせずに見ているハズだった。


それが、今俺は豪邸の前に立ち尽くしている。


いや、豪邸なんてもんじゃないかもしれない。


洒落たレンガの塀は俺の身長(173センチ)をはるかに上回り、鉄の門が完全に外の世界をシャットアウトしている。


まるでヨーロッパの城のようだ。そこにチョコンとインターホンがついているから、どうにかここが日本でこの城が民家なのだと思い出すことができた。


そんな城を見上げると、また足元に汗が落ちた。このままずっと突っ立っているワケにはいかない。


太陽にやられてしまって今でもかなりふらついている。


このインターホンさえ鳴らせば、中の人が出てきて用事は終る。


それはわかっている。


わかっているのだけれど、俺は30分の前からこの場所にいて、誰か知り合いが通りかかってくれないか、人の気配を感じて中から誰か出てきてくれないか。

などと甘い期待を胸に抱いている。