「お前ら、何してんだ？」


安定のルーティンワークに今、明らかにイレギュラーな事態が起きている。


いや、俺に取っては非常事態。


目の前の光景に何て言えばいいのか、どんな言葉が正しいのか全く分からない。


やっとの事で吐いた言葉が先のもの。


どこからどう突っ込むべきなのか、いや、無視を決め込み何事も見ていない事にするのか、、、


「何してんだ？って見て分かんないのかよ。」


そう答えるのはクラスのリーダー格、山久達哉(やまひさたつや)。


山久は所謂、イケメンと称されるグループに入る。


見た目だけでなくその立ち振る舞いもスマートな身のこなし方をしていて


同性の俺が見ても山久は格好いいと思う。


「いや、視覚的な事を言えばそれは俺にだって分かる。俺が聞いているのはお前らのそれに何か真意はあるのかと言うことだ。」


「ねぇ、なんでいつもそうやって物事を固く考えちゃうの？」


続いて声を上げたのは今やクラス内どころか学内にもそのお節介ぶりが知れ渡る岡部優美(おかべゆみ)。


「固くって、そんなつもりは…」


教室内に静けさが走る。


何で俺は見て見ぬふりをしなかった？


少々、いつもと違っても構うことなくスルーすれば良かったんじゃないのか？


一日の予定をいつも通り終え、いつもの道を通って帰宅すれば良かったじゃないか。


なのに…


どうしてスルーしなかったんだ。


壊れたルーティン。


いつも通りじゃない日常が今、俺の目の前にある。