頑張れない二人のキスは間違いだらけだ

1週間後…

「お姉ちゃん早く早く!!グッズ売り切れちゃうよー」

「私ここで待ってるから行っといでー」

手を振る私に手を振りながらグッズ購入の列に並びに行く妹の姿を見ながらふぅと溜め息を吐いたのは、この体を芯から怠くさせる暑さのせいだった。

もう16時だというのに何この太陽の熱の強さと街の暑さ…

紫外線予防にと被ってきた帽子の内側も外側もあっつあつなんですけど!!
髪焼ける。え、焼く気なんですか!?と太陽に向かって叫びたい気持ちを抑え込みながら私が、ここに来るまでに妹と立ち寄ったコンビニで購入したペットボトルの麦茶の蓋を開けてゴクゴクとのどを鳴らしながら飲んでいると、ふと隣に明らかに場違いの大人しそうで真面目そうな青年が頭からタオルを被りながらふぅと溜め息を吐きながら座った。

この顔の赤らみ、頭からタオルを被る行為、ぼーっと一点を見つめる瞳、見るからに飲料水を持っていない…すなわち…熱中症の可能性大だ!!と判断した私は、まだ買ったまま口を付けていない妹の麦茶を青年に手渡そうと声をかけかけて静止した。

「おまたせー。はい麦茶」

「おう。サンキュー」

……あっぶなーい。危うく何この人?とかめっちゃ怪しまれるとこだった。と麦茶を袋に戻し、自分の麦茶を飲む隣で青年もまた、彼女?が買ってきた麦茶のペットボトルの蓋を開けて飲み始めた。

飲みながらちらりと隣を見ると、表情もいたって普通で、タオルを外しながら汗を拭き、彼女らしき女性と楽しそうに会話をしていた。

熱中症じゃなかったのか…と安堵していると、正面から妹が大量のグッズを手に小走りで戻って来るのが見えた。

どんだけグッズ買っとんねん。と思ったのは内緒だ。