頑張れない二人のキスは間違いだらけだ

コンコン。と部屋のドアをのっくしてからドアを開けると、妹はちょうどドライヤーで髪を乾かしていた。

部屋の中は大音量とまではいかないが、よく聴こえる。尚且つご近所迷惑にならない程度の音量でYUKIYA様の曲が流れていた。


「どうしたの?」


ドライヤーを終えた妹は、手ぐしで髪を解かしながら部屋に入ってきた私に問いかけてきた。


「ちょっと聞きそびれたことがあったからさ」

「なにー?」


部屋の壁半分に貼られまくった沢山のYUKIYA様に見つめられながら私は妹に問いかけた。


「あんたさ、モテとかいらないって言ってたじゃん。あれなんで?」

「なんでってー」

「あんたぐらいの年ならさ、痩せたい!異性にモテたい!って思うもんなんじゃないの?」

「んー、そういう子もいるけど…私は今の体型に不満ないから痩せたいとか思わないし、モテるってなんかめんどくさそうなんだよね。よく思わない女子から反感とか買いそうだし。まぁYUKIYA様に好かれるなら女子からの反感どんと来い!って感じだけどね」


妹よ。お前の世界の中心にはずっとYUKIYA様が居座っていて、お前はそのYUKIYA様のために生きているんだな。


「お姉ちゃんはモテたいの?」

「そりゃーねー」

「ふーん。お姉ちゃんだって黙ってればそこそこ可愛いからモテると思うけどなー」


ああ妹よ。なんてお姉ちゃん思いのいい子ちゃんなんだ。
ライブなんて嫌だとか言ってごめんよ。
お姉ちゃんは君の幸せのためなら喜んでライブに行くよ!行かせて頂きますとも!!と心中で妹に向けて叫んだ。