ただいまー。と毎日嫌というほど聞いている奴が帰ってきた。

バタバタバタバタと何をそんなに急いで廊下を走る必要かあるんだこいつは。とピクリとも動かない私と反対に、部屋のドアノブは勢い良く回り、ガチャッと可愛らしい音とは真逆のバンッというどでかい音を立ててドアは開いた。

「お姉ちゃんお姉ちゃん!!て…うっわ、また干からびてるの」

「うっさい。あんたこそよくこのあっつい中を学校行って帰ってこれるね。偉すぎ。マジ尊敬するわー」

「いやいや、私学生だから!暑かろうが寒かろうが学校行くのが本業ですから。行かなくていいなら誰が行くかっつーの」


制服姿で鞄を手にしたまま妹の愛音(あいね)は「はい」と言って冷凍庫から取ってきたソーダ味のアイスキャンディーの2本の内の1本を手渡してくれた。

こういうところが可愛い。


「あんたさ、その口の悪さなんとかしたら?そしたら顔面可愛いんだから絶対にモテるよ?」


袋からアイスキャンディーを取り出した妹は「モテとかいらないし」と言ってアイスキャンディーを舌でペロリと舐めた。

今なんとおっしゃいましたか妹よ。
モテとかいらないし。
モテとかいらない。
モテとかいらいと言ったかこいつ!!
モテたいと切に願う男女だってうじゃうじゃいるこの世界で、え、アイスキャンディー片手に冷房の風に黒髪を揺らされながら涼しい顔して、え、モテとかいらないし??


「お姉ちゃん早く食べないとアイス溶けちゃうよ?」

「あ、うん」


袋からアイスキャンディーを取り出した私は、妹と胡座姿でアイスキャンディーを口にした。

ひんやり口の中が冷たくなっていくのを感じながら、夏なんてさっさと終わってしまえと思った。