「あっつ…」


目が覚めると、部屋の中はすっかりサウナ状態になっていた。

枕元に置かれた冷房のリモコンを手にスイッチを入れた私は、怠くて重くなった体を起き上がらせ、ベタついた肌に触れた時、自分が昨夜風呂に入らずに疲れて眠ってしまったことを思い出した。

そのままシャワーを浴びに部屋を出ると、薄明かるい時間の家の中はシンと静まり返っていた。

自分の足音とドアを開ける音だけがやけに大きく聞こえた。



「あああ、気持ちいい…」


シャワーで汗を流してすっきりした私の肌に冷房の冷たい風が当たるのを濡れた髪を拭きながらベッドに座って感じていた。


昨日のライブがまるで夢だったかのようにいつもと何も変わらない朝を迎えた私は、とりあえず面倒な夏風邪を引く前に髪を乾かしてしまおうとドライヤーを手にスイッチを入れた。


ブオオオオとドライヤーの音を部屋中に響かせながら髪をさっさと乾かし、やがて明るくなった空をカーテン越しに迎え入れた。


「何しよっかなー」

今日も何をするでもなく家にこもって1日が終わっていくんだろうな。

そう思っていた。


あいつがまたわけのわからないことを口にするまではずっと……