コンコン。ガチャッと部屋のドアが開いたのは、私が部屋に入って間もなくのことだった。

「初音、おかえりなさい」

「ただいま」

「付き添いありがとね。久々の外出で初音も疲れたでしょう」

母はそう言って微笑みながら私のベッドに軽く座ると話し始めた。

「さっきね、愛音ったらパンパンのリュック背負ったまま嬉しそうに目を輝かせて今日のことを話してくれてね、なんだか小さい頃のこと思い出しちゃったわ」

多分それは私が見たような気がする光景と同じなんだろうなと思いながら、私は楽な部屋着に着替えていた。

「初音は覚えてる?あの子が幼稚園の頃に芋掘りから帰ってくるなりこーんなおっきなさつま芋を袋から出してあーだこーだきゃっきゃ言いながらノンストップで話してたこと」

ああ、やっぱり同じだな。と思いながら「あったあった」と脱いだ服を片手に頷いた。

「あの時ね、ああ姉妹そっくりだなぁって思ったの」

「え?」

「初音が幼稚園の時も芋掘りから帰ってきて嬉しそうに目を輝かせながらお父さんにあーだのこーだのノンストップで話すものだから、この子いつ息継ぎするのかしらってお父さんと二人でハラハラしたの」

「そうだったっけ?」

「その初音もすっかり大人になって…時が経つのは本当に早いわねぇ。さてと、初音もゆっくりしたらお風呂入りなさいね」

「うん…」

パタンと母が部屋を出て行った瞬間に、私はベッドにダイブして疲れを取ろうとした。