オレは少し考えた、仕事が終わってからの約束をまもれるかわからないから。お酒を飲んで潰れる事もあるし、お客さんに誘われる事もある。それに過保護だと思われるかもしれないが、サナを朝方の四時頃に歓楽街に連れていく事も嫌だった。

「仕事前なら連れていく」とオレは答えた。

サナは少しだけ不満そうな顔をしたけれど「わかったよ」と、言い、いつ行くと聞いたので、オレは今からと答えた。

「ご褒美が半分だからもう半分のご褒美も考えとくね」

サナはそう言うとジーンズとTシャツを持ってキッチンに向かった。オレはもう半分のご褒美ってなんだよと思ったが、サナのわがままを可愛いいと思うようになっていた。わがままと言っても些細な事だから。無理難題を言わないと分かっているからである。