ミクが帰ってしばらくの間、気まずい雰囲気が続いた。少なからず、二人はお互いの気持ちを探るようなことはしてこなかった。それはお互いの気持ちがどうあれ、一緒に暮らしていく上で、今は知る必要のないものだった。お互いが憎からず、少しの好意を持っている。それぐらいでちょうどよかったのに、ミクのおかげで今は、お互いが少し意識する羽目になってしまっていた。

サナは起き上がり、照れくさそうに頬を赤く染めながらも平静を装いながら言った。

「そろそろ、夕飯の支度するね」

オレも平静を装い「ああ」とだけ答える。オレはキッチンに向かうサナを微笑ましく見送った。