少しの間、沈黙が続いた。サナの境遇が余りにも悲惨なもので、喋ることを生業としているはずの二人が絶句したためである。下手にこの話しを続けるのは、今後、サナとの生活に支障が出そうな気がして何も言えなかった。

何か考えこんでいたミクがやっと口を開いた。

「一ヶ月も一緒に暮らして、本当に何もないの?今さらだけど、別に何かあっても怒ったりしないから」

ミクが本当に今さらのこと言うと思った。あれだけ未成年がどうのこうの言っといたにも関わらずどの口が言うのかとミクを見た。ミクは前言をすっかり忘れているように悪びれる素振りもない。