サナは楽しそうに映画を夢中で見ていたが、体調が万全とはいえないオレは、映画のクライマックスを前にして眠りについていた。言い訳するするなら洋画を選んだ事が失敗だった。字幕を追ってるうちに目が疲れてしまったのだと思う。多分。

「起きて、アイル、映画終わったよ」

サナはオレを揺さぶり起こす。

「ごめん、寝て」

「ほんとだよ、寝たら映画の一番の醍醐味を味わえじゃない」

「醍醐味?」

オレはサナの言っている意味がわからなくて聞き返した。サナは、はぁっと、小さくため息をつく。
「お互いの感想を言い合えないじゃない、映画はお互いどう感じたかを話すのが楽しいんだよ」

腕を組み、拗ねるようにサナはいった。オレは一言、申しわないと謝るしかなかった。