焼肉屋でのサナはとても満足そうな顔をしていた。たいして高級というわけではない普通の焼肉屋。繫華街のメインストリートの通りにたまたま目についた店だった。正直に言うと繫華街のどこに何があるか詳しく知らなかった。こういう時に歓楽街に染まったと実感する。

焼肉屋を出ると、オレは服についた臭いが気になった。それから、Tシャツに半ズボン姿のサナを見て言った。

「サナ、服買ってやろうか?」

「いいの?」

すぐに食いつくサナ。

「ああ、夏が近いしな、ただし、服はオレが選ばしてもらうけどな」

サナは身構えるようにして言う。

「えー、言っとくけど、コスプレとか嫌だだからね」

コスプレという考えは全くもってなかった。ショートカットのサナを見てメイド服を着せたら似合うんじゃないかとつい思ってしまった。