文句を言いながらもサナは心配そうな顔をしながらベッドの脇でビニール袋を持って待機してくれている。サナは基本的に優しいのだとつくづく思う。サナは質問を続ける。余程気になっているとみえる。

「手首がどうしたの?」

言うべきか迷う。オレのいる世界の汚い部分をみせるような気がして、それをいう事でサナにどんなふうにみられるのか恐れている。それでもいう事に決めたのは、自己保身のためであった。サナを襲ったという事実を消したいがためである。