サナが様子を見計らってコップに水をくんでオレに差し出す。その水を一気に飲み干して、それからトイレに駆け込んだ。あまりの駆け込み具合にサナが驚いた表情をするのが見えたが、今は口を開くことができない。飲んだ少量の水を全て吐き出して、オレはサナに頼み事を言う。

「サナ、悪いけど、水、ペットボトルごと持ってきてくれ」

サナは言われた通りにペットボトルをオレに手渡し、オレはひきかえにスーツを手渡した。

「アイル、言いたいことがあるんだけど」

「何?」

「昨日のことよ、ないにか一言あるべきでしょ」

「昨日?」

オレはペットボトルの水を一気に入るだけ胃に詰め込みながら思い出そうとしたが、こみ上げてくる吐き気にあらがうことは出来なかった。