サナは少しの間、呆けているようだった。キスされると本気で思っていたのか。怯えて声が出せないのかはわからない。それでも正気を取り戻したサナは気丈に振る舞い、言った。

「わかったわよ、さわってないって信じてあげる」続けて十七歳って、そんなにガキかなって小さく呟いた。その呟きを聞いてオレは思う。十七歳のサナをガキだなんて一度も思った事はない。十分に女性だと思っている。ただ、今のところ、今の関係が心地良くて、下手な事をして今の関係を壊したくない。それにサナの信頼を裏切るわけにはいかない。出会った頃のように隅っこにしか居場所がなくなるような事はしたくないんだ。