「正解!よくわかったな」

「わかるわよ、評判がいいなんて聞いたら、見たくなるもの」

「そうだな」

本当は評判がいい映画なんて知らなかった。映画好きの彼女に適当な話しをしただけだった。話しを合わせる。話しつくる。話しを引き出す。それがオレのやり方だ。友達と話すみたいに、自然と言葉がでるように、彼女の趣味を聞き出して、趣味の話しをする。当たり前のように聞こえるけれど、お客さんの趣味は多様で、その多様な趣味に合わせるために、かなりの労力が必要になる。この事をサナは理解しないし、できないかもしれない。まだ社会にでてないから。