サナの喧嘩口調で緊張していたオレの心が正常に働きだした。いつもと変わらない態度を見て少し安心感を得たのだと思う。

「迎えにきた」

オレは一番の目的を素直に言った。

サナの心に少しだけ響いたのかサナが一瞬仰け反る。

「何でよ、出て行けっていつも言ってたじゃない」

そう言われて返す言葉をオレは探す。

「今は一緒にいたいと思ってる」

「わたしはアイルを殺すつもりだったのに?そんなわたしの考えを聞いてもそんなこと言うなんて、頭おかしいんじゃないの」

「なあ、サナ」

「何よ」

「家に上がらせてくれないか」

オレはそう言って、サナに周囲の状況を理解させるために隣の家に視線を向けた。サナは周囲を見回して近所のおばさんが心配そうに覗いている事に気づいた。

サナはフーっと息をはいて心を落ち着かせるようにした。それからオレに「上がって」と、言った。