……勇気を振り絞って押したインターホンのボタンだったが押した瞬間に違和感が走る。ボタンが固く押してもピクリとしない。
壊れていやがる。壊れたボタンを何度も何度も指が痛くなるまで押した。もしかしたら正常に動くかも知れない。そう思って。

十分くらい壊れたボタンと格闘していたら二階の窓が開いた。開いた窓からサナがこちらを見て固まっている。それからハッとした表情になりサナが二階の窓から声をかけてきた。

「何で、わたしの家をしってるのよ」

「サナだってオレのこと知ってただろ」

サナは少し考えこんで「そっか」と、言った。サナは毎年届く店のDMカードにいきつたのだろう。それからサナは窓を閉めて、一階に降りて玄関を開けた。

「何しにきたのよ」

サナは怒って唇を尖らせて言った。