サナの表情が一段と曇る。目的と小さく呟いて、目に光るものが滲みでている。「目的はもういいの」と、サナは言った。

その言葉を聞いてオレは納得ができない。今、さっき目的を果たしたから家に帰ると言ったのに、今はもう目的は関係ないと言わんばかりだ。だったら何で急に帰ると言い出した。オレがサナの気に入らない事でもしたのか。訳がわからない。

「目的はもういいってどういうことだよ?さっきと言ってる事と違うじゃないか」

もう発する言葉も声色も喧嘩ごしだ。対するサナも同じでヒステリックになっている。

「しょうがないじゃない、わたしだって悩んで悩んで悩み抜いたんだよ、どう考えたって、わたしの目的は果たせない」

「なんでだよ」

「わたしがアイルを殺せるわけないじゃない」

サナはその言葉をいい放つと、ハッした表情になり口元を手のひらでおおった。

なんだよ、それ、オレを殺すって。サナの目的がオレを殺す事だったのかよ。じゃあサナはずっとオレの事を殺すために一緒に暮らしてたのかよ。そう思うとオレは全身の力が抜けるような気がした。