まずいと言いながらも二人はたこ焼きを食べきりサナから空いた入れ物を受けとると、オレは公園内にあるゴミ箱にそれを捨てた。

それからサナを自動販売機まで手招きした。サナは予想通り甘いジュースを選んだ。オレは微糖のコーヒーを選んで、もといたベンチに腰をおろした。

「ありがとうね!」

サナが缶ジュースを両手でコロコロしながら唐突に言った。オレは少し驚いて、返事が少し遅れる。だから「ああ」とだけこたえた。

サナは真剣な眼差しを向けてもう一度、お礼の言葉を言った。

「本当にありがとうね」

その言葉、その表情をみて、オレの心が少しざわつく。いいしれぬ不安を感じる。このありがとうはなんのありがとうなのだろうか。