夕方になると、普段以上の人通りの声が自宅まで届く。友人。カップル。親子と様々な声。繁華街や歓楽街に近い自宅なら、引っ込んだ住宅街に比べると、自宅マンション前の通りは人通りが多いのは当たり前なのだけれど、お祭りといったイベント事があると、人通りはさらに増える。繁華街に近いと便利だとか皆いうけれど、静かに暮らしたい人にとっては、鬱陶しいかぎりである。
サナが窓を覗いて、わーと声をあげた。
「人、増えてきたねー」
そう呟いて、即座にカーテンを閉めた。
「びっくりした。目が合ったよ、人の家覗いてくるなんて、失礼だよ」
いや、サナも覗いていたから目が合っただけで、実際は六階の部屋の中までは見えないだろう。見えて窓だけだと思う。それに失礼なのはお互い様のような気もした。いや、むしろサナのほうが覗いていた側になるのではないだろうか。
サナが窓を覗いて、わーと声をあげた。
「人、増えてきたねー」
そう呟いて、即座にカーテンを閉めた。
「びっくりした。目が合ったよ、人の家覗いてくるなんて、失礼だよ」
いや、サナも覗いていたから目が合っただけで、実際は六階の部屋の中までは見えないだろう。見えて窓だけだと思う。それに失礼なのはお互い様のような気もした。いや、むしろサナのほうが覗いていた側になるのではないだろうか。