サナは助手席に座ったまま、体だけ後部座席に身をのり出して、バッグの中からアルミホイルに包まれたおむすびを二つとりだして、一個をオレに手渡した。

形を見てみたが、先ほどサナが落胆するほど形は変わっていないように思えた。三角結びでなく、まん丸に作ってある。炊飯器の中身を残らないようにぎゅうぎゅうに詰めこんだみたいに固く握られている。

少しだけしょっぱい気もする。サナに飲み物はないのか尋ねると、サナはコンビニで買えばいいじゃないと言った。

完璧とはいかないもんだとつくづく思いながらオレは運転した。

入りやすそうな大きな駐車場のコンビニを見つけたのでオレはすかさず車を前から突っ込んだ。