サナはオレの顔をじっと見つめて、オレの決意の固さをさぐる。サナの視線をそらさないでいると、サナは言った。

「じぁあさ、最後に海に連れて行ってよ、もう半分のお願いも残ってるしさ」

サナは泣きそうな顔を我慢して、気丈に振る舞う。そんな、サナの最後の願いならとオレは首を縦にふった。

「お腹すいた」とサナは言いながらキッチンに向かい朝食を作りはじめた。居たたまれない空気からにげるようにして。サナが味噌汁と卵焼きを作り終える頃には、すっかり、いつものサナに戻って笑顔をオレに向けていた。